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志村恭介編 古城
その夜もかなり更けて、木戸をノックする音に志村は飛び起きた。連日の山歩きで熟睡していた志村達であるが、志村自身は、妙に今回の脇坂の行動にある不可解も感じていた。水晶に見向きもしなかった点と、滑石の話も聞けず仕舞いだ。それにわざわざ脇坂がこの宿泊所に同行して来た点だ。追われるように出た村なのに・・だ。
木戸を開くと、そこには山田村長が立っていた。志村はその木戸を締めると、山田村長に手招きされるまま、すぐ近くの集会所へ行き、座っていた。
「今日は済まん事でした。脇坂先生には大変失礼な事を」




