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志村恭介編 古城
「成る程、理由は分かりました。・・すると、大学まで山田村長を面倒見たのは脇坂博士なのですね?」
「ふ・・その通り。お前にはもう後の語りは必要無いと見える。わしは動きとうても、もう以前のようには無理じゃ。これからの研究は若いお前が継げ」
脇坂はそれだけ言うと、寝息を立てた。志村は考じていた。*脇坂は老いた・・この地に死に場所を求めて帰って来たのかと・・。品川も思った、これ程の学者が後押しをする以上、ここにはきっと確かなものが在る――と。
*脇坂の見かけは以前と変わらぬが、その意識の中に老いが見えたと志村は思っていた。




