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志村恭介編 古城
脇坂は案外この品川を気に入ってるのかも。志村は思った。当の品川は、顔を赤くして怒っている。
「素っ裸で歩く変態と、考古学がどう結びつくんですか!全く・・ぶつ・・ぶつ・・」
コップ酒を煽りながら、品川の顔は益々赤くなった。志村が笑いながら、その話を切り替えた。
「はは・・で?博士。その村長のお袋さんと、その裸がどう繋がるんです?まさか博士が襲ったのじゃないでしょうね?」
「ば・・馬鹿たれ!そ、そんな事が出来るわしじゃったら、見す、見す・・」
脇坂の顔にぱっと赤みが射し、そしてその瞳には深い憂いの色が浮かんだ。志村と品川は顔を見合わせた。どうやら、冗談半分の言葉が、その過去の出来事と結びついているようだった。




