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志村恭介編 古城
石鎚山ロープウェイより歩いて、約25分後に成就社に着いた。品川には志村の意図するものが分からなかった。自分達は観光旅行で来ているのでは無いのだ。大勢の人達の目的とは少しずれた、違和感を持たれた奇異な目に晒されるのが、少し彼は恥ずかしかった。だが、それが、志村が一人の人物に会う為だったと分かったのはすぐの事だった。白眉、白髪の尋常の風体では無い老人が志村達の前に立った。品川にとっては勿論初対面の人物だ。俵や清二と会ってからも少し年月を経ていた。*脇坂であった。
「博士、お久しぶりです。*西方城発掘以来です」
*実は、清治の飼う清竜号が時折、朝鳩舎から出して数日戻って来ない事もあった。清治はそれを異に思わず、平然としていた。正春もこの頃になると、清治には特別な能力が備わっている事をはっきり認識していたし、既に競翔鳩として引退している鳩の事、口出しをする事は無かった。だが、清治はこの志村恭介達の動きを実に正確に把握していたのである。清治はこの時18歳になっていた。
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