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志村恭介編 古城
ようやく辿りついた小さな沢で、見事な金色の毛をした鹿が驚いて駆け去った。
「驚いた。あんな鹿がこの辺りになると居るのですね」
「鹿だけじゃなく、猿だって、熊だって居るだろうね」
思わず、品川が身構えたのを見て、志村は苦笑した。
「当然、生活の場所とは動植物が豊富にあって、それからどう言う手段で村落を構築して行ったか、それを組織し、どう守って行くかが鍵なんだ。その痕跡を探し出し、この山奥を選び集団生活したのか・・偶然でも良い、手掛かりを見つけたいよね」
「はい」




