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志村恭介編 古城
「先生・・先ほど村の人がアマゴの干物と、手造りのみそを置いて行ってくれました」
「有り難い事だ。都会では考えられない人情に溢れている村だよね。でも、それ以上に我々学者と言うのが珍しいのかも知れないね」
「はあ、確かに・・。先ほども長老連中が土地の話を一杯して行きましたからね」
「お陰で、この辺りの鉱山の歴史は良く分かったよ」
大学の研究と言う事で、村中が騒いでいる中で、2人は余り大騒ぎになる前にと、早朝より寒風山の方向に向かった。桧や杉の人工林の続く中で、ブナや楓が真っ赤に紅葉して、所々の朽ちた木には万年茸が生えている。
「四国もこの辺りになると、随分様相が変わりますね」




