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志村恭介編 古城
「あの、赤星っさんに登りなさるんか・・あの山はのう、昔、それは星の見えん真っ暗な晩にな、すーっと山の向こうが赤うなった思うたら、そらあ見る見る内に*赤い光が差したんよ。その光がまるで御光見たいじゃゆうて、そんでな、赤い星、赤星ゆう名前になったんよ。離れて沖から見よったらそりゃあ、けっこな(綺麗なの意)山でのう、富士山見たいじゃきんどな、そんでもあのお山は、若い衆でもなかなかえらい登りばっかりの山でな、しんどい、しんどかったゆうて皆がもんて来る。登り始めたら、お山のてっぺんが見えん、ただただ息を切らしもって見えんてっぺんを目指して行かんといけん。あんたらも、まあ、気つけて行かんとのう」




