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志村恭介編 古城
「君がそう言ってくれるとは思っていたが、我々の研究にはそれなりの資金も必要だ。これから事務局に掛け合って見るさ」
そこへ現れたのが、岸上助教授。いつもの薄ら笑いを浮かべながら、
「全く雲の上を見てる人は違うねえ。一体この重要な時期に半年間もどこへ行くのか、不思議な人達だよ」
岸上は志村が教授の椅子を投げたと思っている。確かにそう言う意味に取られて当然であった。
「さて、どこへ行きますやら・・。君のように地に足をしっかりつけて無いと、すぐ天まで昇ってしまうのでね、はははは」
笑い声を発して背を向ける志村に、岸上が更に言う。




