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志村恭介編 古城
「考古学上有益な探求をする為です」
「うん、そうか・・しかし、研究費は出せんよ。しかし、君の自発的な休暇としてなら認めよう」
志村は含んだような笑いを抑えながら、一礼をすると、学長室を出た。室外では品川が待っていた。
「どうでした?」
「休暇は認められたよ。しかし、研究費は出せないそうだ」
「ち!あの商人学長、どこまでもせこい」
「まあ、予想していた通りの事だ。仕方あるまい。しかし、私の給料は何とか出るとして、君の給料は休職扱いになって厳しいかも」
「いいです。最初からそんなものはあてにはしていません。少し位の蓄えもありますから」




