261/9342
志村恭介編 古城
午後の授業開始のサイレンが鳴る少し前に研究室に戻って来た志村は、教授会の資料を持ち出すと、再び走り出て行った。
志村チームと岸上チームは、共に次期教授の道がある上に、古代史の中の日本の位置付けと言った非常に近い研究の上に、何かにつけて志村が古代日本を過大評価するのに対して、大陸文化の影響を受けた日本の位置付けと、あらゆる面で視点が逆で、それは片方が○と言えば、もう片方は△×と言う類の、論の為に闘わす論のようなものだった。品川は、常に視点がぶれない一貫した志村を尊敬していた。




