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志村恭介編 古城
「君はいつも喧嘩腰だねえ・・。今日は午後から教授会が開かれるんで、その報告に来たんだよ。ところで、志村君がここに居ないなんて、珍しい事があるもんだ」
そう言いながら、更に研究室の奥まで進もうとする岸上に、両手を広げて品川は制した。
「判りました。助教授が戻り次第伝えておきます。どうぞ、ご退室下さい」
研究室を出る前に、岸上が、
「ワン!ワン!」
頭に血が昇って、品川はドアに向かって何かを投げようとしたが、寸での所で思い止まった。岸上の笑い声が廊下に響いていた。




