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未知の血統
「・・そこまで・・分析されていたのですか・・ふう・・でもそれは考えられ無い事ではないですね。それで、他鳩との差が・・しかし、そうならば、過去の例とは全く相反する事になると思いますが」
「まだ君の視点は画一的だ。確かに敦盛は通らず、迂回したとしても、河原連合会にとっては最短距離。分速がややそこで落ちたとしても、帰舎時間に当てはめれば納得が出来る」
「つまり・・これまでの*常識を覆すような鳩が出現したと見るべきですか?」
「ふむ・・君の目からすればそうなるだろうなあ・・実は、我々はその風に負けない、むしろ風に向かって飛び帰るような血統を目指して来たんだ。だから私の鳩舎の血統は殆ど入れ替わった。これは、どう自分が旧血統に固執したとしても成し得ない問題でもあったから・・しかし、それも大きな問題がある」
*確かに誕生している。その鳩を通じて、清治にはこの地区の地形が脳裏に刻まれているからだ。一見、この競翔の話も、浦部自身が清治にとってのキーワードなる人物では無い者だが、こう言う会話の中に清治が動かしているものが見え始めているのである。




