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季節の移ろい
「無謀じゃありませんよと言えば良いのかな?ははは」
浦部は笑った。しかし、熱心にこれから競翔鳩の世界に入ろうとする政春に、否定するような言葉を発する浦部では無かった。十分なるアドバイスが出来る立場に居る現在の彼だから。正春が言う。
「この前頂いた鳩は、もう鳩舎に慣れたようで、少し入舎訓練をしています」
「少し、見せて頂けますか?鳩舎の方を」
「ええ、勿論ですよ」
印刷業を営んでいる政春だから、鳩舎はあれから大工に手を入れて貰って、立派な創りになっていた。3坪もある素晴らしいものだった。
「ほう・・これは素晴らしい。成るほど・・南側に面していて、採光も通風も鳩が飛び立つ際の障害物も前方には全く無い。それに・・手を入れましたねえ、俵さん。こんな立派な止まり台まで」
「どこか、気になる所はありますか?」




