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未知の血統
「だから・・だからなの?清ちゃん、一言もおじいさんの事私達に聞かなかったのは?」
「ぐす・・だって・・だって僕が泣いたら、父さん、母さんが困るから・・う・・うう・・」
「泣いて・・泣いて良いんだ、清治。悪かった。お前の気持ちも分からず父さん、母さんごめんな、もっと早く言ってやれば良かった」
今、3人は真の家族となった。そして、祖父亀吉の余りにも悲壮な決意と孫を思うその心情を感じた。
次の朝、日曜日。昨晩自分のこれまでの押し込んで来た辛さを全て出し切ったように、明るい表情で、清治と政春達は敦盛に来ていた。
清治が育った家はもう・・そこには無かった。野原がそこへ広がっているだけであった。
「ここだよ・・ここへ住んでいたんだ」
シロが楽しそうに走り回っている。弓子がその場所へ白い菊をそっと置いた。
「亀吉じいさんの墓に行こう・・」




