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未知の血統
「清治・・知って・・いたのか・・」
政春も涙を零した。
「清治・・今どこだ?」
「鳩小屋の方・・」
弓子が立ち上がる。
「清治!清治!」
鳩小屋に立つ清治を、政春は強く後ろから抱きしめた。政春は素足だった。
「痛い・・痛いよ、お父ちゃん・・」
「あ・すまん」
清治を抱きしめた手を緩めて、政春は清治の顔を見た。
「お前・・いつからだ・・亀吉じいさんが死んだ事を・・?」
弓子が今度は声を上げて泣きながら、清治を抱いた。清治もつられて声を上げて泣く。
「ぐす・・約束・・したんだ・・おじいと。おじいは、もうすぐ死ぬ。けど、男の子は泣いたらあかん、強うなれ・・そして新しい父さん、母さんに大事にして貰えって」




