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未知の血統
「なあ・・弓子・・清治も、もう4年生。そろそろ*爺さんの事を・・」
弓子の顔が途端に曇った。
「駄目・・駄目よ貴方。清ちゃんはこんなに明るく元気になって、きっとお爺さんの事も聞きたいし、会いたいと思うんだけど、私達の前では一回も口にしていないわ。それはきっと遠慮していると思うの。おじいさんの事をあの子が私達に聞けば、困るからだろうと、気をつかっているのよ。そんな優しいあの子に、今悲しい現実を告げたくない」
「弓子の言う通りだよ・・しかし・・私達が困るから口に出せないあの子を見るのはそれも不憫じゃないか。それに、もう人の死は凡そ理解出来る年になった。それを先延ばしにしても、いずれは分かる事だ。その時まで隠し通して居る事もおかしいじゃないか」
*これは重大な清治の能力を高める方法の一つ。清治が、既に世界を作用させているので、原点回帰がここで必要だった。




