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未知の血統
政春は、今更ながらと深く香月に頭を下げた。
「・・先生の洞察力には一分の隙もありません。しかし・・我々が目指している事は可能でしょうか・・」
「それは、即答出来ません。しかし、磁気測定機がなんらかの役に立てるでしょうし、この鳩の出現によって今後は大きく競翔が変わるかも知れません。まさに、敦盛を制する為に生まれた鳩のような気がします」
そう言って、香月は俵家を後にした。
思考錯誤の日々が始まった。浦部と政春。この年の春、清治の名付けた*清竜号は100キロから500キロレースの全てに優勝した。圧倒的な速さであった。まさに香月が指摘した通りのスピードバードの素質を、遺憾なく見せた。
そんなある夜の事だった。
*清治自身の分身清竜号と言う竜の冠が初めて登場する。




