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未知の血統
「済みません、お忙しい所を」
「いえいえ・・でも、随分快活になられたですね、清治君は」
「はい」
政春も嬉しそうに答えた。シロが清治にじゃれつきながら付いて来る。
「ほら!おじさん。この鳩なんだ!」
香月に見せたのは、栗の今春2次鳩として初レースに参加させる香月暁号系統の一羽だった。
「ほう・・」
香月は、触診する前にその鳩の資質を既に見切っていたと見え、
「清治君・・確かに・・この鳩は傑物だ」
「あの・・先生のご慧眼は良く存じ上げて居りますが、鳩に触れない段階で、その・・」
政春が言うと、香月は声を上げて笑った。




