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季節の移ろい
政春が同行を申し出た。浦部から貰った書物の内容に、この時既に深く感動し、競翔に対し興味を増していたからだった。勿論、正春が興味を示すと言うのは、清治の無意識化の発動・・これは後年分かる事だが、そう言うこの清治の能力を更に目覚めさせるべきアイテムが必要なのだ。その為、これも、後年出て来る言葉に染める・・と言うものがある。正春は既に清治によって染まっている故に、動き始めたのであった。
「あ、勿論良いですよ。実は、来月東京の方で講演があるんです。その講演を聞いて、都内のホテルで、会食の予定があります。立食のパーティーですので、都合がつくのでしたら、是非ご一緒に」
「行きたいなあ、是非!弓子良いだろう?」
「ええ、良いわよ。でもね、浦部さん、もう主人ったら、この頃鳩の話ばっかり。まるで、子供に戻ったようで」
弓子が笑いながら言った。




