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未知の血統
「・・うーーん・・良く・・分からないなあ・・」
道明寺が、眉間に皺を寄せながら答えた。すると、
「コースは今見せたが、ここで気象条件に拠る鳩の飛翔高度を見る必要がある」
浦部が、それを道明寺に指し示した。
「ははあ・・高気圧と低気圧では随分高度が違いますね・・」
「その通り。低気圧の競翔では、この河原連合会でも上位には食い込んでいるんだ。しかし、高気圧の時の高速レースにおいては、殆ど入賞が無い。それが何を意味するか、それは敦盛と言う地形だけでは無く、山頂付近における何かが、大きく競翔の妨げになっているのではないかと言う事に突き当たる。そして、鳩群は優秀であればあるほどこの付近を通るコースを選ぶ訳だから、ここで、大きく迷っているのでは無いか?と言う推論が立つ・・それが電磁波なのか、磁場なのかは先ほど言ったように、私には分からないんだ」
「納得しました・・感服しましたよ、浦部さん」




