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未知の血統
「ふふ。確かにそう聞こえるでしょうし、私程度の凡庸な競翔家が改良なんて言葉を吐くのは余りにも大仰で、思い上がったようにも聞こえるでしょうね」
「いや・・そんな事は誰も思っては居ない・・ただ・・」
田名部氏、花川氏が言葉を少し失った。
「いえ、良いんです。しかし、皆さんがこの春の競翔結果を誉めて下されば、下さる程、私自身はこの今春の成績を満足とは思って居ないと言えば、それも思い上がりでしょうから」
「つまり・・総合上位にもっと食い込めるのだと・・?」
「はい・・皆さんもこの地区の400キロ以上の合同杯や、総合レースで苦渋を舐めさせられている現実を痛感していると思います。先程も申しましたが、最後100キロ・・つまり、その原因はこの地区の北に位置する山地の敦盛にあるのだと言う事です」




