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未知の血統
「はは・・。有難う御座います。嬉しい言葉ではありますが、確かに今春の成績には満足とまでは行きませんが、納得はしています。然しながら分速で落ちると言うのは、最後の100キロなんですよ。それの克服がまだまだだと言う事です、そう思っております」
周囲が浦部の側に集まって来た。この日の政春は、仕事の納期に詰まっていて同行して居なかったが、田名部氏は、俵清治の成績の事もしきりに褒めていた。
「新血統を使翔させていると聞くが、俵清治君の成績もジュニアでは敵無し、勿論大人達に混ざっても強豪の成績。これも凄い事だよ。まだ小学校3年生だ。お父さんと一緒に飼っているとは言え、ここに居る花川君もこの子は天才競翔家だとしきりに誉めている。確かに今春の稚内でも君に続く3羽を帰還させているし、地区3位の成績だ」




