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未知の血統
何と言う運命の輪廻であろうか・・*紫竜号血統と、暁号血統が今ここに交わろうとしている。そして・・この血統こそ、日本競翔界を変えて行くような、大きなものに繋がるのである・・そして、清治にとってやっと竜の冠にまつわる歴史が始まって行く。長い、長い歴史が・・。
固い握手をして、こうして、浦部・俵鳩舎によって新しい香月暁号系の交配が始まろうとしていた。大きなその転機が訪れた。
1ヶ月程して、俵鳩舎には、5羽の子鳩が山川鳩舎から送られて来た。頑なに自分の信念を貫き、独自の血統を目指して来た浦部と言う競翔家だったが、この風神系と言う鳩群を同時に導入と言う決意をした事は、彼自身における大きな変革の年でもあった。幾分年下の浦部ではあるが、政春は、競翔家としての彼を深く信頼し、そして尊敬していた。かくまで競翔と言う底知れぬ奥行きの深い世界に、政春も既に足を踏み入れようとしていた。




