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未知の血統
「はあ・・驚いた・・佐久間さん達とご一緒に。しかし、どうして・・?」
「まあ、お茶でも、ゆっくりお話しましょう」
山川の勧めで一端家の中に戻り、鳩舎外での立ち話に夢中になっていた事も忘れて、3人は中へ入った。清治は鳩舎を見ていると言い、そのまま外へ居た。山川の奥さんが清治に何かお菓子を渡しているようだ。
山川が2人に茶を勧めると、少し待っていて下さいと、奥へ引っ込むと、又2人の前に今度は放鳩籠を持って現れた。
「訳は、この鳩です。見てくれますか?浦部さんがご興味ある特徴です」
浦部と政春は、その鳩を放鳩籠から自分達が取り出しながら触診した。
浦部の眼が鋭いものに変わった。政春も横で見ている。
「深い色の柿眼をしている・・筋肉は硬くも無く、柔らかくもなく・・体は中程度。ふうむ・・羽毛は実に密でしなやかだ。主羽・・おお・・これは・・」
浦部が声を上げた。




