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羽ばたけ若駒!
浦部が向かった所は、和歌山県の海沿いにある鳩舎であった。ここまで3時間半のドライブに、清治もやや眠くなっていたようで、欠伸をしきりにしていたが、着いた途端に眼が輝いた。
「浦部さん・・ここは?」
「全く無名の鳩舎ですが、実はこの地は強風が吹き荒れる所で有名でしてね。以前少し私の耳にも届いていた鳩舎です。最近になって、何度か電話で、お話させて貰いました。こちらは山川鳩舎と言われます」
「山川鳩舎・・強風・・ほう・・」
政春には浦部の意図するものが全く見えなかった。しかし、清治は、まるで、ここの鳩舎を知っているが如く早足で、2人の先を歩き出した。




