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羽ばたけ若駒!
その場に清治は居なかったが、ここまで全レースに入賞を続けて来た俵清治の鳩が、400キロレースになって初優勝を飾った。そして2位も清治だった。大きな拍手で、政春は会員の祝福を受けた。
「でも、浦部さん。私は初めて競翔する訳ですが、何となく、自分の力ではなく、他人の力でやっているようで、まだ実感が湧きません」
浦部に正直な気持ちを語った政春であるが、
「そんなもんじゃ無いでしょうか?俵さん。誰しも、競翔をするにあたって人の教えを請い、それでアドバイスを聞きながら競翔する訳です。確かに今回の鳩は香月君から託された鳩群かも知れない。しかし、実際どんな優秀な血統、資質の鳩であろうと、その鳩舎の管理が全てを左右します。俵さんが、それが出来得る方だからの結果じゃ無いですか。それにきっと、これから先、子鳩を作出して、自分作の鳩達を競翔する事になったら、もっともっと実感も湧きますよ。それに、俵さん、この連合会は小さいですけど、そんなに甘くは無いですよ。強豪もたくさん居ますからね、ははは」




