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羽ばたけ若駒!
その方向から5羽の鳩が飛び帰って来る。それは、全く放鳩地から逆方向であった。
4時前の事、10羽参加した鳩が2羽戻り、5羽今度は一斉に戻った。そして、ぱらぱらと4時半までに参加した全鳩が戻った時点で、浦部から電話が入った。
「えっ!全鳩帰舎ですか・・凄いなあ・・今日は皆散々で、現時点では3割もまだ戻って無いですよ」
香月系の真価と言うか、並外れた資質に、政春も改めて納得していた。香月博士直々の選りすぐりの一群が送られて来た証拠だ。難レースであったにも関わらず、この素晴らしい帰舎状況は・・。
開函場所へ一人で行った政春だったが、余り会員は居なかった。山崎と言うインテリ風の会員がパソコンを用意していた。近年目覚しく発展しているパソコンであるが、この時代には、まだまだ高価なもので、聞けば、工業高校の先生だと言う。わずらわしい分速計算をするソフトを作っていると言う事で、近年のゴム輪からマイクロチップのPCネットワークの競翔の先走りであると言って良い。明らかに競翔のシステムが進化し始めている頃であった。




