15/9342
第一章
「清治、父さんとちょっと鳩小屋の方へ行こうか?」
「うん!」
俵が清治を呼んだ。弓子と、浦部の奥さんである幸江さんが談笑する居間を後にして、清治と政春は、浦部と一緒に鳩小屋へ。2坪程の鳩小屋ではあるが、新築と一緒に建てたと言う事で、綺麗な作りだった。政春がここを見るのはもう2度目。ここを見るのが初めてである清治は、目をくりくりして鳩小屋を眺めていた。
「清治君、こっちおいで」
浦部の手招きで、清治が鳩小屋の中に入った。殆ど濃胡麻と言われる黒っぽい鳩群だった。
「ふふ。鳩がたくさん居るだろう?」




