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羽ばたけ若駒!
「はい」
政春が電話を取ると、その電話の主は香月であった。
「あ!香月博士。どうも・・です。はい、凄い順調で、今日も放鳩訓練に行って来ました。ええ、はい。そうなんですか」
政春が電話を切ると、清治が鳩舎の前に立っていた。
「あのな、清治。この鳩を送って下さった香月博士が、来週鳩の様子を見に来てくださるって」
「知ってるよ」
「・・・又夢を見たのかい?」
こくんと清治は頷いた。清治の場合は予知夢であるが、香月の場合はその類まれな洞察力で、先を見る。政春は、清治の後から同じように一緒に鳩を見ながら、そう思っていた。電話の事は浦部にも伝えた。その浦部であるが、彼も又、一人の人物から電話を貰っていたのだ。




