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季節の移ろい
「清治・・あっちって?」
政春が聞いたが、清治はただ首を振るだけだった。
「ほう・・・赤い玉・・やはりこの子は大きなヒントを与えてくれたわ」
脇坂が一人頷いた。
「先生、どう言う事ですか?」
「俵、もう発掘から引退したお前じゃから言うが・・この子の指差した方向こそ、青銅の剣の先が向いた南西の方角・・すなわち、わしが発掘しようとしている岡山の遺跡の方角にあたる。赤い玉・・まさしく紅水晶じゃ。この子が言う女の子と、どんなつながりがあるかは分からぬが、その昔の城の姫につながる話なら、発掘にわしは全力をあげねばなるまい」
ここで、脇坂との接点は失い、物語は、小さな競翔家、清治を中心とした物語へと転換する。




