140/9342
季節の移ろい
脇坂が、その場で考える。
「ふうむ・・・」
「先生・・何か?」
政春が尋ねると、
「いや何・・意味があるのかと思うてのう」
清治は、そんな脇坂の様子も知らぬとばかり、すたすたと歩き始めた。
そして、夢に見た大楠を指差した。それはやはり御神木であった。
「やはり・・もう何も出んか・・」
少し落胆したように、宮司が言う。
「赤い玉・・」
清治が突然言う。
「えっ!」
3人が清治の顔を見る。
「遠いところ・・あっちの方の、女の子が知っている」
清治が指差したのは、南西の方角だった。




