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第一章
「ところで、今日お呼びしたのは、子供達と清治君に遊んで貰う為でもありますが、実はお約束した子鳩が順調に巣立ちを迎えています。その中から俵さんに好きな鳩を選んで頂こうと思いまして」
「ああ、それは光栄です。でも、本当に甘えても良いんでしょうか?」
「その昔、私の師匠である、東神原連合会倶楽部長の川上さんが私に言われました。君が、本当に鳩が好きなのなら、どの鳩でも良いから持って帰りなさい-ーと。私もそれは、同じ気持ちです。鳩が好きで熱心な方なら、自ら進んで進呈致します。それが趣味の世界と言うものでは無いでしょうか」
「有難う御座います」
政春は、素直にその気持ちを受けた。




