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季節の移ろい
「近い内に、香月博士は、脇坂博士と再会するだろうとも言って居られましたねえ・・」
「ふふ・・あの香月ちゅう男の澄んだ瞳は、何もかもお見通しなのでは・・そんな錯覚すらするわい。一動物学者で終わらすには、勿体無い人物じゃ」
「競翔家としても、到底私等が、到達し得ない遥かに高い次元に居られるレベルの方です。競翔とは科学なのかとも思いました。怪物紫竜号を使翔させた、やはり凄い天才競翔家でした」
「わしが興味あるのは、彼の*遺伝子工学、*DNA分野じゃ。やはりいずれ近い内に必然的に会うであろう・・わしも思う。で?清治君に協力しては貰えんのか?」
「明日の朝、清治に聞いて見ます。しかし、これが最初で最後ですよ、先生。私達は、あの子が家族になった事で、やっと今歩み始めたばかりなんですから」
「分かった。この件が終われば、もうここへは来ん」
脇坂に秘められたある種の決意に押されて、政春が頷いたのだった。




