130/9342
季節の移ろい
「一年生か・・お前達も今から大変じゃのう、子は一人か?」
「そうです」
政春が答えた。
しばらくすると、清治も少し慣れたのか、政春の膝に乗って脇坂の酔い話に耳を傾けていた。脇坂は、変人、奇人と言われているが、少し意外にもどうやら子供好きのようだ。清治を喜ばそうと面白い話を聞かせている。
「わはは・・するとじゃのう、その男が言う訳じゃ。これ・・お前はどこから来なすった?と。男は答えない。うんともすんとも言わない・・それもその筈、よくよく見ると、声を掛けたのは、田んぼの案山子じゃったと言う訳じゃ」
「きゃはは」
清治が笑った。脇坂がにやっとする。




