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季節の移ろい
浦部が言う。
「何なりと」
「その磁気のある場所とは、敦盛の逢坂峠に沿って、岩崎川が流れていてる、つまりその岩崎川の、それは西側の山の事であると見て良いのかい?」
「・・驚いた・・浦ちゃん、その事を知っていたのかい?」
香月が驚いて浦部の顔を見た。
「はは・・俺にそんな知識がある訳が無いよ。聞きかじりに言ったまで。志村と言うT大学の学生に聞いたんだ、先日」
「・・その学生って?ひょっとして、前に自分が質問を受けた子かな・・?」
俵が言う。
「自分から説明しましょう。脇坂博士と同じT大学の考古学を学ぶ学生ですが、非常に頭脳明晰な若者です。私の後輩にも当たりますけど、先日敦盛に案内しました。志村君のこの地に関する資料集めの為でした」




