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季節の移ろい
香月が磯川を見た。以前の鋭い競翔家で活躍していた頃見せて居た磯川の目だった。
「で・・・君はひょっとして*紫竜号のDNAを持っていて解析もしているとか」
「持っています。けど、紫竜号をもう2度と手にしたくはありません」
少し淋しいような目をして香月が答えた。
「あ、済まない。それは分かっているよ。でも、*人為的にDNA操作が出来る者が過去世に居たと言う話ならどうだね?脇坂博士は確か、そう言う学説を一時発表された筈だ」
磯川が話を転ずると、香月が笑った。
「仮説ですね?非常に面白いとは思いますが、それが事実だとして、たかが動物学者である私がそれを証明する事も出来ず、かと言って否定する材料もありませんが・・。もし、脇坂博士がその分野まで分析、研究されているとしたら、近い内に又お会いする事になるかも」
*脇坂博士の研究が大きくこの次元の時を動かして行く。




