第一章
一連の競翔鳩をモチーフにした小説です。しかし、この清治少年には驚くべき能力が隠されていました。成長と共に、幾多の次元を彷徨いながら、突如としてその能力が開花して行きます
この物語は、1人の少年によって巻き起こされる物語である。
そして、まだ少年には自我が目覚めて居なかった。ごく普通の地球・・我々が過ごして来た次元の地球なのかどうかは分からない。その時の中に、突如として登場したのであった。
幼くして、たった一人の肉親である祖父を亡くして、子供の居ない夫婦の養子になった清治少年の話から、色んな出来事に突入して行く。
だが、その清治には、特殊な能力が隠されていた。それは、生まれ持ったものであった。
人里離れた山奥に、敦盛と言う部落がある。遠い昔、平家の落人が隠れ住んだと言う。
「おじい!見て!あれ!」
「何じゃ・・?」
腰の曲がった、骨と皮のように痩せ細った老人が、少年に手を引っ張られて空を見上げる。
「おう・・今年も来たか・・」
冬が近くなると、この山郷に飛来してくる渡り鳥の群れであった。里山にちらちらと雪が舞い落ちる季節・・・
「さあ・・清治、もう家の中に入ろう、寒いじゃろう」
孫と古ぼけて今にも崩れそうな茅葺の民家。そのの家に入るのは、花房亀吉、80歳、孫清治、6歳であった。
「のう・・清治。春になったら、お前も小学校に通わなくてはいかん。町へ降りる準備をせにゃあならん」
「嫌じゃ、わしは、おじいとここに居る」
「清治・・わしは、もう80じゃ、畑仕事も、もう出来んし、お前の事を役場に頼もうと思っとる」
「町へ行くと、もうここへは戻れん、嫌じゃ、おじい・・わあん」
清治は激しく泣いた。
不可思議な旅・・そしてある境から一役この少年が主役に躍り出る。そして友人達との出会い、本当の両親に出会う旅・・その不可思議な生き様を見て頂けたらとしたら、嬉しい限りです