妻(カミ)風船
上辺だけじゃ駄目なんだなぁ。
薄っぺらい僕の紙風船は膨れ上がる。
だんだんと君の中の僕は大きくなる。
いずれ弾けてしまう事を僕は知っているのに。
弾けるまで待たなくとも何かの拍子にすぐに壊れてしまう。
それは勘という針でも、
それは涙という水でも、
それは怒りという炎でも、
いとも簡単に壊れてしまう。
それを知っていながら僕は膨らみ続ける。
本当は弾けてみたい。
弾けて何もなくなった僕を見て欲しい。
でもその時の君の目は刃物のように僕を切り刻むでしょう。
上辺だけじゃ駄目なんだなぁ。
薄っぺらい紙に糊付けされた嘘を僕はいつまで貼付けて生きていくのだろう。
長い間苦しんだ悩みを一気に剥がしてみた。一気に萎んでみた。
なんてことはなかった。
君には本当の僕が見えていた。
膨らみ続けていたのは僕の中での君の中の僕。
君で良かった。
君の息で僕は膨らみ続ける。
今度は誰にも割られる恐れはない。
強固なカミ風船。