第8章 過去と未来
翌日、カフェには柔らかな朝の光が差し込んでいた。
めぐみは今日もクリスと一緒に店を開け、準備を進める。
昨日の告白で心が温かくなり、自然と笑顔がこぼれる。
「クリスさん…昨日のこと、ありがとう」
「こちらこそ。君がいてくれて嬉しいよ」
クリスは微笑み、めぐみの目をまっすぐ見つめる。
昼になり、街の常連客がやってくる。
注文を取りながら、ふとクリスが小声でめぐみに話しかけた。
「めぐみ、少し座ってくれ」
めぐみは少し緊張しながらも頷き、カウンターの奥へ進む。
クリスは深呼吸をし、ゆっくり語り始めた。
「俺がこのカフェを始めたのは…孤独だったからだ」
「孤独…ですか?」めぐみは静かに聞き返す。
「小さいころから、家族も友達も少なくてな。
でも、人と繋がれる場所を作りたくて、このカフェを始めた」
その目は真剣で、同時に優しさに満ちていた。
めぐみの胸は熱くなる。
「すごい…クリスさん、そんな思いで…」
「だから、君がここに来てくれて嬉しいんだ」
クリスは微笑み、手元のコーヒーをそっと差し出す。
めぐみは頷きながら、温かい感情に包まれる。
午後になり、二人は店の奥で将来の話をする。
「この街でずっとカフェを続けられたらいいな」
「うん…私もクリスさんと一緒なら、どんな未来も楽しそう」
めぐみの声には、確かな覚悟が宿っていた。
クリスは小さく笑みを漏らす。
「めぐみ、これからもずっと一緒だ」
その言葉にめぐみの心は跳ねる。
胸の奥が温かくなり、未来に希望が満ちる。
夕方、街に光が傾き、長い影が路地を染める。
めぐみは窓から外を眺め、心の中で呟く。
「ここでなら、私…強くなれるかもしれない」
クリスもまた、めぐみの横顔を見つめる。
「彼女は…俺のそばにいてくれる」
心の中でそう思いながら、自然と手を差し伸べる。
二人の手が触れ合う瞬間、日常が特別な時間に変わった。
「クリスさん、私…未来も、ここで過ごしたい」
「めぐみ、俺も同じ気持ちだ」
夜になり、カフェの灯りが街を柔らかく照らす。
星が瞬く夜空を見上げながら、二人は静かに座る。
心の距離は完全に縮まり、互いに寄り添う温かさがあった。
異世界での生活はまだ始まったばかり。
だが、めぐみとクリスの未来は確かに輝き始めていた。
過去の孤独も不安も、今ここで生きる喜びに変わっていく。
「私…クリスさんと一緒なら、どんなことも乗り越えられる」
めぐみはそう心に誓い、夜風に揺れる街の光を見つめた。
カフェの未来、二人の未来、そしてこの異世界での日常が、
新しい物語を静かに紡ぎ始めていた。




