第7章 心の告白
カフェの閉店後、店内は静かな空気に包まれていた。
窓から差し込む月明かりが、床に長い影を落とす。
めぐみはカウンターの片付けをしながら、心臓の高鳴りを感じた。
「クリスさん…」
つい声が漏れる。振り向くと、クリスが背中を伸ばして立っている。
「どうした?」彼の声は低く、柔らかさが混じっていた。
めぐみは小さく息を吸い、勇気を振り絞る。
「今日…ありがとう。私、クリスさんと一緒に働けて、
本当に楽しかったです」
クリスは静かに頷き、微笑む。
「俺もだ。君がいてくれて助かった」
その言葉に、めぐみの胸がぎゅっと熱くなる。
心の奥底に、言葉にならない感情が芽生えた。
「クリスさん…私…現代に帰ることもできるけど…
でも、ここにいたい。クリスさんと一緒に…」
言葉が途切れ、めぐみは顔を伏せる。
クリスはそっと近づき、静かに手を差し伸べた。
「めぐみ、帰さない。俺のそばにいてほしい」
その声は力強く、でも優しさに溢れていた。
めぐみは驚き、目を見開く。
「…私も、クリスさんと一緒にいたい」
言葉が自然に口をついて出る。胸の奥の不安が消え、
温かい気持ちで満たされる。
クリスは静かにめぐみの手を握り、見つめ返す。
「これからも、ずっと一緒だ」
めぐみの頬がほんのり赤くなる。
二人の距離が、確かに近づいた瞬間だった。
その後、二人はしばらく何も言わずに座る。
カフェの静寂が、心の波を落ち着かせる。
外の月明かりが、二人の影を優しく重ねた。
「私…怖くなくなりました」
めぐみは小声でつぶやく。
「怖いこともあるけど、クリスさんとなら大丈夫」
クリスは静かに頷き、そっと肩に手を置いた。
「その通りだ。俺も同じ気持ちだ」
二人の心は言葉を超えて、確かに通じ合った。
夜の街に静かな風が吹き、店内の灯りが柔らかく揺れる。
めぐみは今日の出来事を胸に刻み、少しずつ未来を思い描いた。
「私、この街でクリスさんと一緒に生きていきたい…」
クリスも同じ気持ちを抱きながら、そっと彼女の手を握る。
今日という日が、二人にとって特別な一歩となったことを
静かに感じていた。
外の夜空には星がきらめき、街の灯りと溶け合う。
めぐみとクリス、二人の心が重なった瞬間、
異世界のカフェは、これから訪れる日々の物語の
始まりを静かに告げていた。




