第6章 異世界の危機
その日の午後、街に不穏な空気が漂った。
遠くの森から不気味な風が吹き込み、木々がざわめく。
カフェの外では、住人たちが不安そうに立ち止まっている。
「クリスさん…何が起きてるんですか?」
めぐみはカウンターから外を見つめ、眉をひそめる。
クリスは深く息をつき、鋭い目で街の方を見た。
「小さな魔物が街に出たらしい。避難が必要だ」
「えっ、私も…手伝うんですか?」
「もちろんだ。君も一緒に動く」
クリスは迷わず指示を出す。めぐみは緊張しながら頷いた。
まずはカフェのお客さんを安全な場所へ案内する。
めぐみは手を握り、声をかける。
「こっちだよ!怖くない、私がついてる!」
子供たちはめぐみの手に安心してしがみつく。
クリスも冷静に指示を出す。
「めぐみ、右側の通路から誘導する。焦るな」
めぐみは深呼吸し、クリスの指示通りに動く。
少しずつだが、住人たちは安全な場所に集まっていった。
そのとき、魔物がカフェの近くに現れ、街に恐怖が走る。
「クリスさん…どうしよう…!」
めぐみの声に、クリスは静かに答えた。
「落ち着け。俺が先に動く。君は避難誘導を続けろ」
クリスは素早く動き、魔物の進路を制御する。
めぐみは不安で手が震えるが、住人たちを守るために必死で動いた。
「大丈夫、もう少しだから!ついてきて!」
子供たちはめぐみに必死にしがみつく。
数分後、魔物は森の奥へ退き、街に平和が戻った。
息を切らし、めぐみは倒れそうになりながらも肩を落とす。
「ふぅ…や、やっぱり怖かった…」
クリスがそっと肩に手を置いた。
「よくやった、めぐみ」
その声に、めぐみはほっと胸をなでおろす。
「私…少しは役に立てたんですか…?」
「十分だ。君がいなかったらもっと大変だった」
夜、カフェの窓から見える月明かりが柔らかく街を照らす。
めぐみは今日の出来事を思い返し、胸の奥に小さな自信を感じる。
「私、守ることができた…」
クリスも同じように夜の静けさを感じながら、めぐみを見つめる。
「頼もしくなったな…」小さくつぶやき、微笑む。
めぐみは気づかず、作業を続けながらも胸が熱くなる。
その夜、カフェの静けさの中で二人は言葉を交わさずに座る。
目には見えないが、互いの心には確かな信頼が生まれていた。
めぐみは心の中で呟く。
「クリスさんと一緒なら、どんなことでも乗り越えられそう…」
クリスは黙ってその言葉を聞き、そっと手を差し伸べる。
二人の手が触れた瞬間、今日の危機の疲れと恐怖は、
少しずつ温かさと安心に変わった。
街に平和が戻り、夜の静寂が二人を包む。
めぐみは小さな希望と勇気を胸に抱き、明日への覚悟を決める。
「私…もっと強くならなきゃ」
その思いが、異世界での新しい日常を少しずつ形作っていくのだった。




