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月夜のカフェで  作者: 塩塚和人


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第5章 誤解とすれ違い


ある日の午後、カフェの空気はいつもより静かだった。

めぐみは店内の棚を整理している最中、ふと目にした箱に手が伸びる。

その中には、クリスの私物や書類が隠されていた。


「え…これって…?」

めぐみは好奇心から一枚の書類を手に取った。

そこには、クリスが過去に受けた訓練や、誰にも話していない秘密の記録が

ぎっしりと書かれていた。


めぐみの心に不安が生まれる。

「クリスさん…私に隠してることがある…?」

胸がざわざわと落ち着かない。


そのとき、クリスがカウンターから声をかけた。

「めぐみ、何してる?」

「あっ、えっと…何でもありません!」

慌てて書類を戻すが、顔は赤くなる。


クリスは少し眉をひそめ、めぐみの挙動に違和感を覚える。

「…何か隠してるのか?」

「い、いや…そんなこと…」

言葉に詰まり、二人の間に微妙な空気が流れた。


その日の午後、めぐみは少しよそよそしく振る舞う。

クリスも事情を知らず、彼女の態度に戸惑う。

「今日は一人でやる。手を出すな」

冷たく聞こえるその声に、めぐみの胸がきゅっとなる。


「え…わかりました…」

作業を続けながらも、二人の間には言葉にならない距離があった。

カフェの窓から差し込む光はいつもと変わらないのに、

二人の心は少しずつ離れていくように感じられた。


めぐみは心の中で自問する。

「クリスさんは私を信じてくれてないのかな…?」

同時に、クリスも思う。

「めぐみ、何を考えているんだ…?」


夕方、常連客がやってきた。

「こんにちは~いつも通りのセットをお願いします」

めぐみは少しぎこちなく対応し、手元が震える。

クリスはすぐにフォローに入る。

「落ち着け、大丈夫だ」


二人でお客さんを送り出した後、めぐみはほっと息をつく。

「ふぅ…やっぱり、私はまだまだだ…」

クリスは彼女の肩に軽く手を置き、静かに言った。

「焦るな。誰だって最初はそうだ」


めぐみはその言葉に少し心が和らぐ。

しかし、心の奥にはまだ不安が残っていた。

「クリスさん、本当は何を隠してるんだろう…」

好奇心と不安が入り混じり、胸が締め付けられる。


夜、カフェの灯りが店内を柔らかく照らす。

めぐみは一人、カウンターの隅で手を組み、深く考え込む。

「私は…信じたい。でも、どうしても怖い…」


クリスもまた、厨房の奥で静かに考えていた。

「めぐみの距離が…なぜこんなに離れているんだ?」

互いの心は通じ合いたいのに、ほんの少しの誤解で交わらない。


しかし、その夜、二人は気づかないうちに少しだけ距離を縮めていた。

言葉では表せない、目に見えない絆がそこにあった。

めぐみは不安の中で、少しずつクリスを信じようと決意する。


「明日は…もっとちゃんと話してみよう」

そう心に誓った瞬間、カフェに静かな夜の空気が流れる。

誤解とすれ違いの影はあるが、二人の間にはまだ希望が残っていた。



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