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悪役令嬢は気ままに生きたい  作者: 春紗


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第一話 転生したけどもう疲れた

体が重く動かない。

何も見えない。何も感じない。

、、いや、正確には、何かには“包まれている”感じだ。

あったかくて、息苦しくて、押されて、引かれて、なんかこう――雑。

あっ、、

スマホ、スマホ、

枕元に置いたはずのスマホを探す。手を伸ばせばここに、

あれ、

ない。

よく考えたら布団がない。枕がない。壁がない。部屋がない。

え、

浮いてる?いや、ふわっとはしていない。

あっ、え、

何か触られてる感じ。

何これ、

上、下、横、体中誰かに触られてる?

やめて、やめて、やめてよ!

「おぎゃぁぁぁぁぁ」

拒絶を振り絞るように叫んだ。

え、これ、私の声、、

喉が焼けるように痛い。

肺が爆発したみたいに苦しい。

__なにこれ、なんで叫ぶのにこんなに体力使うの!?

息を吸うだけで精一杯。

手足なんて、振り回すこともできない。

「ぎゃぁぁぁ」

周りに黒い影が降りてきた。

怖っ!

徐々に一つ、二つ、四つと増えていく。

誰か確かめようと目を細める。

すると徐々に前が明るくなる!

まぶっ、

「まぁ可愛い!」

「おめでとうございます!!」

大勢の声と人の形が見える。

ナニコレ?ダレコレ?


__気づけば私は転生していた。それも見たこともない異世界へと。


、、は?


___


転生といえば、過労死とか、事故死とか、そういうアレじゃん。

運命的にトラックに轢かれたとか、心臓が止まったとか、そういうやつ。

でも私はというと――

健康そのもの。

風邪?十年に一度引くか引かないか。

事故?道端の石にもつまずいたことない。

つまり、死ぬ理由が見当たらない。

だからこそ、なーんーでー

って話。

最後に記憶しているのは、休日の夜、アニメ一気見マラソン。

あの長寿アニメ「銅魂」だ。

でも、そこに転生しなくてよかった。

一歩間違えればキャラ崩壊し始めるところだった。

後どう見ても私が今まで見たアニメ、漫画、小説どれもピン!とこない異世界なのですが。

「可愛いね」

「ほんと!」

生まれてすぐの幼児は目が悪いとはこのことなのだろう。声も何となく違いがあるが、全く誰が誰なのかわからん。人の形をした影(?)が話しかけてくるのはわかる。たまに、ほっぺを突きまくってくる。

__やめてください。

思わず手で叩き落したくなる。だが、肝心の手が重くて動かないので無理な話だ。力を入れても、ふにゃっとするだけ。

「この子の名前考えたの」

「どんな名前だ!」

たぶん、両親らしき人が話している。

どちらの声もテンションが高い。

__変な名前はやめてくれよ

両親(?)に期待を込めて思う。

「名前はセレスティアよ!」

__え、

「この子にピッタリな名前だね」

__変ではないが、、もっと淡白で短くていいのだが

「セレスティアマリーって名前にしようかと迷っていたの」

__あ、そっちが絶対嫌。長すぎて覚えられねぇわ

「他にもセレスティアマリーリリィも良いと思って」

__名前くっつけんなよ。じゅげむじゅげむ、みたく長くなっちゃうでしょうが

「迷う!」

たぶん父(?)迷うな!どう見たって今のはちげぇだろ!

「セレスティアマリーって神々しくて最高だな」

__どこが!

「そうよね!あなた」

「セレスティアマリーリリィも美しい響きで最高だな」

「そうよね!あなた」

__何が、そうよね!だ。絶対嫌。その名前になった場合は改名する。

「素敵だわ!」

「ほんと素敵だ!」

__もうやだ、この二人テンション合いすぎる。

「でもセレスティア「あぁぁぁぁぁ」

「あら、どうしたの」

__もうこっちの名前でいいよ!

と強い思いを込めるように全力で叫んだ。

「よしよし、お腹すいたのかな」

「ご飯作らせよう」

「あぁぁぁぁぁぁぁぁう」

__違ぁう!

「どうしたの?よしよし」

「医者か?」

__名前変えろ!

「どうかなさいましたか?」

誰かが部屋に入ってくる。

声が落ち着いていて、少し年上の女性っぽい。

「この子泣いていて」

「お腹すいたのかもしれませんね」

__ちがーぁう

「お嬢様」

トントン、とリズムよく叩くそれは眠気を誘う。

「眠いだけですよ」

__別に、そう、言うわけじゃない、、

赤ん坊のあやし方が上手すぎて気合いを込めないと寝てしまいそうだった。

「お二方お名前はどうされたんですか」

__!!

その一言で目が覚めた。

__そうだよ、そのことだよ

「今候補三つで迷っている」

「セレスティア「あぁぁぁ」

「お嬢様」

「他にはセレスティア「あぁぁぁ」

「どうやらセレスティアをお気に召してるようですね」

__、、、別に気に入ってはない。

「なら!セレスティアにしましょう」

「そうだな」

「セレスティアお嬢様はおやすみの時間です」

「ありがとう」

トントン。

優しく揺らされて、あっという間に眠気が戻ってくる。

__まぁ、、いいや。長いのよりマシだし、、

静かにまぶたを閉じる。

__次起きるときは、、もっと動けるようになっててほしいな


私はこの世界で最初の眠りについた。

そして、前世の名前を捨て今世では――


「セレスティア」


として生きることになった。

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