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パワードスーツ勇者 ~ゴーレム技師が最弱女勇者の装備を魔改造してみた~  作者: 小河白明夫


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第13話 新装備への道

 ショックで倒れこんでいるキリエが復活するまでの間、ゼノとリシェルは店の中にある装備を色々と観察していた。

 そこでまず最初にゼノの目に留まったのは、とある全身鎧であった。


「なるほど。こういう造形にすることで、全身鎧でありながら女らしい見た目にしているということか」


 その全身鎧は、胸や尻の形がとても強調されたデザインの鎧であった。

 そして本人そっくりの人形を土台として鎧を作り出すゼノの錬金術であれば、装備者の体のラインをそのまま鎧のデザインに反映させて、とてもセクシーな感じのおっぱいアーマーを作ることも決して難しくはないだろう。


 だがしかし、ゼノは隣にいるリシェルの体つきを見て思った。

 この手の鎧はちっぱいには似合わない…と。


 リシェルは華奢で小柄で凹凸の少ない体つき。

 そんなリシェルの体のラインを鎧のデザインに反映させたところで、全身鎧のごつい雰囲気を打ち消すことは難しい。


 かといってリシェルの体格で無理やり胸や尻を盛っては、見た目的にも重量的にもバランスが悪くなり、全然ダメな鎧が出来上がってしまうことが容易に想像できる。

 つまりこの鎧は何の参考にもならない。


「次いこうか」

「うん」


 そしてその後も二人は店内にある装備を色々と見て回るが、基本的に露出度の高い装備や、布製のひらひらした装備が多く、全身鎧の見た目をどうしようかと考えているゼノにとっては、あまり参考になるものが存在しなかった。


「ああ、いったいどうしたものか……」


 だがそこに、ついに復活したあの者が現れる。


「お悩みのようだな、ゼノ。だが、これはそこまで難しく考えるような問題ではないぞ」

「何だと?」

「別におっぱいアーマーにせずとも、全身鎧で女性らしさを表現することは可能だ」

「いったいどうすればいいんだ?キリエ!」

「ふふふっ、それはだな、鎧をくりぬいてしまえばいいのだよ!」


 それからキリエは、リシェルを後ろ向きでゼノの前に立たせた。


「リシェルちゃん、ここに立って」

「ん……」


 そしてキリエはリシェルが着ている鎧の背中部分に指を当てながら語りだした。


「ここ、この背中の部分。例えばここをこうぐるっとくりぬいて背中を露出させれば、それだけで全身鎧のごついイメージはある程度打ち消されて、いくらかは女の子らしい見た目になるだろう」

「なるほど」

「あとはお腹とか、太ももとか二の腕の部分も削っていけば、どんどんごつさは軽減されていく」


 確かにキリエの言う通り、鎧の色々な部分を削っていけばごついイメージは軽減されて、女の子らしい見た目にはなるかもしれない。

 だがしかし…


「さすがにそれはだめだろ。背中や腹を部分的にくりぬくだけならともかく、太ももや二の腕の部分を取り除いては、この鎧の機能が発揮できなくなる」

「機能?」

「鎧がゴーレムのように動くことで、装備者が本来の身体能力以上の動きで戦える機能だ」

「ああ、つまり太ももや二の腕の部分を丸っと取り除いてしまうと、手足のパーツが胴体から切り離されてしまって、ゴーレムのように動かすことが出来なくなってしまうということか」


 そう、それがゼノが危惧していたことである。

 しかしそんなゼノにキリエはある提案を告げる。


「だったらつなげればいいのでは? ほら、太ももの部分は細長いパーツを用意して、それをガーターベルトみたいな感じで取り付ければ、胴体と足のパーツはつながる……というかこれ、全身のパーツが全てつながっていて、そのうえで全てのパーツが体にしっかり固定されてさえいれば、機能的には問題ないのだろう」

「まあ」

「だったら胸当て、籠手、具足以外の部分は、ほとんど骨組みみたいな感じにしても問題ないんじゃないか」

「なるほど、それならごついイメージはほとんどなくなるな。しかし……」


 そう、これで見た目のごつさがほぼ払しょくされたとしても、それと同時にもう一つ大きな問題が発生してしまう。


「それだと防御力がかなりやばくなるだろ」


 リシェルが今着ているこの鎧で戦えていたのは、あらゆる方向からの攻撃を、この強固な全身鎧で完全にシャットダウンできていたから。


 いくら破邪の魔力で瘴気を無効化できたとしても、リシェルの体が貧弱すぎるため、魔物の攻撃をくらったら普通に物理ダメージで致命傷。

 リシェルにはろくな戦闘技術も経験もないため、鎧の機能で多少スピードを上げたところで、敵の攻撃をかわし切ることも不可能。


 つまり敵の攻撃を完全に防ぎきれない隙間だらけの鎧では、リシェルがまともに敵と戦うことはまず無理ということである。


「これじゃあ、守りはいったいどうすれば…」

「それならこういうのを着ればいいじゃないか」


 そう言ってキリエが手を向けた先にあるのは、一見ごく普通の女性用の服の上に、胸当てや籠手などの最低限の鎧が着けられた装備。


「これは今うちで一番人気の女剣士用装備」

「でも見た目重視って感じで、防御性能のほうは…」

「甘く見ないでほしいな。この服の生地はとても丈夫で切れにくく、さらに強い衝撃を受けると硬化する性質が備わっている」

「何だと?」

「だから鎧で守る箇所が最低限の部分だけだったとしても、この服で全身まんべんなくある程度の防御力は得られるというわけさ」


 そのキリエの説明を聞き、早速ゼノはその服の生地を確認する。


「なるほど、そういうことか…。ふむふむ……」

「どうだ、なかなかにいい品だろう。まあ、私は仕入れた素材を使ってこの服を作っているだけだから、この生地自体がどう作られたものなのかはよく知らんのだが…」

「いや、わかったぞ」

「え? ちょっと待て、ゼノ。わかったって、いったい何が…」

「だから、この生地の作り方がだ。錬金術で簡単に作れそうだし、何ならもっと防御力の高い生地にもできるはず」


 ゴーレム作りのために様々な錬金術を学んできたゼノにとって、この生地の製法を見抜くくらい、割と容易いことだったようである。


「それじゃあリシェル、さっさと帰って新しい装備を作るとするか」

「うん」


 こうしてゼノはリシェルを連れて自分の家へと帰っていく…が……


「ルルカっ、あいつ一体何なんだ? 一目見ただけで作り方がわかるとか、ゼノはいったい何者なんだ?」

「ゴーレムさんはゴーレムさんだよ」

「だからそれが一体何だっていうんだ!」

「だからゴーレム作りにしか興味がないゴーレムさんだってば」

「はあ?」

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