小休止: キャラクター・舞台紹介
物語も少し進んできたので、ここで登場人物や舞台となる二つの王国を整理しておきます。
◆人物紹介◆
アルディナ王国
ソーマ
異世界から転移してきた青年。
元の世界ではFPGAを扱うエンジニアで、実験しながら考えるタイプ。
PLLやPUFといった技術を応用し、魔導回路や結界の修復に挑む。
論理と直感を両立させる手腕を持ち、「再訪者」として人々に迎えられる。
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リィナ
結界術師の少女。
幼い頃に砦の結界崩壊を経験し、「人を守る回路を作りたい」と志す。
ソーマに強い影響を受け、彼の隣で学び、支えようとしている。
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アルディス王
アルディナ国王。温厚で理知的な統治者。
ソーマを「友」として迎え、王都での文献調査を許可し、ルシアを案内役に任せた。
戦を避け、民の安寧を第一に考えている。
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ルシア
王立図書館の責任者。伝説の技師エルドランの孫娘。
学者肌で、資料調査に妥協を許さない。
ソーマやリィナの心強い協力者。
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エルドラン=ヴァルクス
伝説の魔導回路技師。
長く現場を離れていたが、ソーマとの出会いで再び回路に向き合う決意を固める。
孫のルシアからは穏やかな祖父として慕われる。
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ヴェルトリア王国
若き王
十二歳の少年王。父王の急逝により玉座を継いだ。
「すべての人が平等に暮らせる世界」を理想に掲げるが、そのために戦争を選んでしまう。
黒衣の技師ヴァルグを右腕として信頼している。
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ヴァルグ
黒衣の技師。
かつてはアルディナで結界を共に作ったが、居場所を失いヴェルトリアへ亡命。
今は若き王に仕え、敵対する立場となる。
「救うための技術が奪うために使われる」ことへの葛藤を抱えつつも、技術者としてソーマへ暗号めいた呼びかけを残す。
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イレーネ
ヴェルトリアの研究所を率いる所長。
技術そのものを愛し、戦争利用には複雑な思いを抱く。
ヴァルグを迎え入れ、共に光学干渉を利用した精緻な回路を研究している。
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◆舞台紹介◆
アルディナ王国
魔石に恵まれ、誰でも扱える「簡易な魔導回路」が普及している国。
その便利さゆえに安逸に流れがちだが、王は平和を重んじ、民の暮らしを守ろうとしている。
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ヴェルトリア王国
資源に乏しく、砂と炎から生まれるガラス管を磨き上げ、光の干渉を利用した「光の回路」を発展させてきた国。
勤勉さと職人の技を誇りとし、資源に頼るアルディナを「怠惰」と蔑む風潮がある。
十二歳の王が理想を掲げるも、その手段として戦を選んでしまった。
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◆まとめ◆
以上が、アルディナとヴェルトリアに属する主要人物と、それぞれの国の特徴です。
豊かさに甘んじる国と、資源を欠きながら理想に駆られる国――。
二つの王国の対立の中で、ソーマたちの物語はこれから大きく動いていきます。
お読みいただきありがとうございます。
耳慣れない技術用語もあるかもしれませんが、そんなものかと読み流していただけると嬉しいです。
次回から本編に戻ります。




