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『終焉を告げる常闇の歌』  作者: Yassie
第2章 哀しみ
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第73話 和也とネイガル


 慣れてないってのもあるからなんだろうけど。ゴジュラスにカノン達は興味を持ったのか匂いを嗅いでいた。

 俺は食われるかもとハラハラするけど、そんな心配は無用で、何故か一緒になって歩くと滝の方で一緒にギルの(サナギ)モードを静かに観察し始めていた。

 そこへ今度は骸まで現れると、骸も一緒になって観察する。


「いやぁぁぁ、久々に来ました」


 そこに何故かネイガルさんがソファに座ってお茶を(すす)り、カズ特製のチョコチップクッキーをちびりちびりと食べている。


「ネイガルさんは此処に来た事があるんですか?」


 美羽が聴くと、何度も来ていると答えた。


「ですが、最近は色々と忙しかったのでなかなか来れませんでしたが、ゴジュラスとベリーを連れて参りましたので、こうしてまた来る事が出来ました。しかし何時見ても和也様の部屋は素晴らしい、感動ものです」


「そ、そうですか」


「ところで美羽さん。ギルが(サナギ)になったとお聞きしましたが?」


「あっはい、今はそのゴジュラスとかがどうやら観察してるみたいですね」


 ギルの話題が出てか美羽の顔が一気に明るくなる。


「拝見しても?」


「はい! 是非是非!」


 美羽はネイガルさんを連れ、ギルの元へと向かった。

 すると「素晴らしい!」と聞こえてくる。その声はどうやら興奮しているみたいだ。

 そして今度は興奮しながらカズの元へ走って戻ってきた。


「か、かかかか和也様! あの生き物はいったいなんですか?!」


「あ?」


 そこでカズはネイガルさんとまた滝の方に行く。


 何を見つけたんだ?


 そう考えながらソファに座ると、カズはその生き物を手に持って戻って来た。


「ん? カズ、そいつは?」


「こいつは"トビトカゲ"って爬虫類だ。体の左右に飛膜があって、これを使って約20メートル程の距離を滑空して飛ぶ」


「へえぇ、そいつがトビトカゲか」


 見た目的にドラゴンっぽいから、ネイガルさんは驚いたのかな?


「私は思わず新種のドラゴンかと思い、ビックリしましたよ」


 やっぱり。


「んでそいつも昆虫食なんだっけ?」


「その通りだ。それでトビトカゲは全長20から25センチの大きさになる。滑空して飛ぶ姿を見てると面白いからな、この部屋には5匹放し飼いにしてある」


「へえぇ、やっぱ飼育は難しいのか?」


「トビトカゲが輸送された時には結構グッタリしている場合がある。コイツは樹上性で木の上で生活をしているからなるべく高さのあるケージが求められるな。高さ120、幅90もあれば良いと思うが、出来るだけ流木や観葉植物を入れてレイアウトしてやった方が落ち着く。それに性格が臆病だからあまりこうしてハンドリング……、って言っても分からんか。触ったり持ったりする事をハンドリングって言うんだが、出来るだけしない方が良い」


 しまった……、しくじった……。カズの爬虫類トークスイッチを入れちまった……。


「それと飼育する上で大切なのはこまめに糞とか食べ残しを掃除してやる事だな。コイツらの寿命がどれだけなのかいまいち分かっていないんだが、理由は環境に慣れずとか色々あるから育てるのは難しい。だから高さと広い環境を用意してやらないといけない。幸い俺は此処で放し飼いにしてるが、今のところ1匹も死んだ個体を見ていない。かれこれ2年は此処にいる」


 ……まっ、なんだかんだ言っても、俺も爬虫類は好きだし、カズの話しはそんな爬虫類好きにとっても勉強になるからな。


「主食はアリやシロアリ、他には小さいコオロギやミルワームにレッドローチだ。まぁ此処にはアリやワラジムシとトビムシって小さい虫がいるからそれを食って育っている。値段は安いが簡単に手を出して良い種じゃねえから飼う時はきちんと調べてから手を出せよ?」


「もちろん、んなこた分かってるって」


 そう言ってチラリと横へ視線を向けると、ネイガルさんは熱心にメモを取っていた。


「成る程、飼育環境で左右されやすいのですね。大変勉強になります。では1匹売ってください。いや、その前にもっと此処で観察をする必要がありますね。(しばら)くまた通い詰めさせて頂きます。良いですよね? 和也様」


「あっ、うん」


 目を輝かせながらカズの顔に顔を近づかせ、ネイガルさんは許可を貰った。


 そう言えば前から来てたんだっけ。


「前にもなんか観察してたんすか?」


 そう聞くと、ネイガルさんは笑顔で応えてくれた。


「以前はムスジカラカネトカゲと言うトカゲを観察するのに、毎日来ていましたよ。和也様から1ペア頂きまして、現在は繁殖にも成功致しました」


 マジかこの人、繁殖に成功させたのかよ。

 ……なんか俺も飼いたくなってきた。


「へえぇ、それは初耳だ。ちゃんと育ってる事しか知らなかったからな俺」


 繁殖に成功したと聞いてカズは驚きつつも喜んだ。


「はい、今ではすっかり大人になっておりますよ」


「マジで? んじゃ今度見に行く」


「おぉ! それは是非! 見に来てください!」


「ちなみに俺の所もいくらか増えたから持ってく?」


「買います」


 そう言って、ネイガルさんは真剣な眼差しをしながらスッと金貨が入った袋を懐から出した。


「金は良いから」


「感謝致します」


「待っててくれ、今良い感じのを捕まえて来る」


「その姿を拝見させて下さい」


 そう言って2人はジャングルの中へと消えて行く。


「マジか……、本気で俺も欲しくなってきた」


 段々と欲しいって気持ちになった俺は、そんな2人の後を追いかけてジャングルの中へと入る。


 その頃、そんなやりとりの中ポツンと沙耶、一樹、ヤッさんが静かに聴いていて、俺はすっかりその3人を忘れていた。


「…………なんか私達の存在忘れられてない?」



 この日はなんとも言えない、ゆるりとした1日で平和だ。

 5匹の恐竜が増えたけど平和だ。別に俺のパートナーになった訳じゃねえんだけど。

 バウはバウで流石にカズの部屋に入れないから、外にいる。

 周りにスプリンクラーから出る水を浴び、組員の人達が急遽用意したバウ専用の日陰をブルーシートとかを使って作ってもらい、バウは快適な空間でくつろいでいた。


二人の話が弾み、憲明が段々と飼いたくなっていく回となりました。

まぁ僕が爬虫類が大好きだからってこともありますけどねwww

爬虫類だけでなく、様々な生き物が好きですので、これからも色々な生き物を出していく所存です✨

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