第52話 第一次カレー争奪戦<美羽side>
なんて幸せな時間だろ。
カズがワザワザ作ってくれた特製のカレーを皆んなで食べて、狂喜乱舞してる。
Bちゃんは木の枝に座り。足をバタバタと動かしながら、本当に美味そうな顔で頬張ってるし。
その木の下に、私と沙耶がノリちゃん達に巻き込まれない様に、避難して食べていた。
刹那ちゃんは器用に、暴れてるノリちゃん達の喧嘩をわざわざ避けながら食べているし。
そして。
「あっ。もうご飯とカレー、これで終わっちゃった」
私が御代わりしたら、それでカレーが終わっちゃった……。
するとそれを聞いたノリちゃん達3人の目が、野獣の如く光った。
「そのカレーを寄越せえーッ!!」
「いやお前はさっき御代わりしてたろ!!」
「ボクはまともに食べれてないんだぞ!!」
私は思わずビクッと驚き、体が動かなかった。
でも、それを阻む者が私を守ってくれる。
「そこをどけギル!!」
そうギル。
そこをどけと言うノリちゃんに対し。ギルはそんな野獣と化した男達を止める為、ある行動に出た。
「はうっ?!」
……その、……ノリちゃんの……、股間に……、ギルの触手によるアッパーが炸裂しちゃった……。
ギルは触手を器用に使って地面を掘り進め、ノリちゃんが丁度触手の上に来たところを狙ったみたいだった……。
うわぁ……、それは絶対に痛いって……。
ー 触手金的アッパー ー
余りの痛さからか、ノリちゃんはガクガク震えながら下顎を突き出し、口から大量の涎を零しながら物凄い顔で涙を流す……。
その瞬間はまるでスローモーションを見てるみたいで、ゆっくりとした時間の中、ノリちゃんが顔を歪めていったの……。
ノリちゃんの痛さが伝わったのか、一樹とヤッさんがノリちゃんと同じ顔で、こ、股間を両手でガードして立ち止まる。
ノリちゃんはそのまま押さえながら膝から崩れる様にして前に倒れて気絶。
「はっ、はわわっ……」
「ひっ、ひぃ……!」
一樹とヤッさんは体を震わせながら変な声を出し。気絶するノリちゃんを見て固まる。
そしてゆっくりとギルの方へ視線をそのままの顔で向けると。
<ギウ>
他にも触手2本を地面に掘り進めていたらしく。ギルは容赦なく……、2人の……、お、お、お尻の下から一直線に突き刺した。
ギル……。
2人はノリちゃんと同じ顔になると泣きながら頭を左右に何度も振り、ガクガクと震えながら顔から倒れ伏した……。
3人の男達は体を、ビクンッビクンッて痙攣させている……。
「ぷっくくく……、あ〜はっはっはっはっはっ! ひ〜っ! ひ〜っ! やめてくれ〜! ボクを笑い殺す気かいキミ達! ひ〜っ!、っはははははははは!」
Bちゃんがお腹を抑えて笑い死にしそうな勢いで笑って、木の枝から落ちない様に必死にしがみついている。
「哀れ」
刹那ちゃんは冷や汗をかきながらまだカレーを食べる。
「ぷっふふっ……」
沙耶は顔を木の根元に埋め、笑いを必死に堪えていた。
「……ば〜か」
私はそんな男達を見下しながらカレーを頬張った。
そんなカレーが入っていたリュックには、カズからの手紙も入っていた。
ノリちゃん達と食べる前にその手紙を読み。ありがたく頂戴する事にしたんだけど……。
何事も無ければいいな……。
【 どうせお前らの事だ、ろくに食料を持って行かずに遠出してんだろ? 俺はまだ用事が済んでねえからそっちに行けねえが、ちゃんとベヘモスと仲良くしてるか? あ? 取り敢えずカレーを作ってやったからダリアに持たせた。無事に届いたのならダリアに感謝しろよ? それとだ。最近、帝国が変な動きをしてるそうだ。まっ、ベヘモスや刹那がいるから大丈夫だと思うが、くれぐれも用心するようにな。
PS. それと、最近ニア達を誰も見掛けていないらしい。何処かで見かけたら直ぐ街に戻る様、声を掛けておいてくれ。頼んだぞ。 】
カズはカズで、街でやることがあるからって離れられない。だから今回、カズとは別行動を私達はしているんだけど。
カズの用事って、手紙にも書いてあった帝国がおかしな行動をしている事に関係しているのかも……。
だったらどこかでニアさん達を見かけたら、街に早く戻るように伝えないと。
私はカズの手紙に書かれていた事が気になったけど、それよりもニアさん達が心配だった。
そして、帝国って呼ばれる国は1つじゃなく2つ存在している。
その1つが王都バルメイア。
バルメイアはカズの話だと、何かを企んでいる国で、未だに奴隷制度が存在している、人間至上主義国家の1つ……。
その国の事で、きっとカズは今、街から離れられないんだと思った。
それにしても、ニアさん達はどこにいるんだろ?
会えれば良いんだけど、もしかしたら今頃、もう街に戻ってるかな?
それならそれでカズが安心するだろうから良いんだけどな……。
でも私達はこの時、まだ何も気がつくことが出来いでいた……。
まさか……、あんな悲劇が待ってるなんて……、誰も予想していなかったから……。
和也特性のカレー争奪戦。
それは、美味しすぎるがゆえに起こった悲劇。
そして……、それゆえに憲明は……。
どうも皆さん、Yassieです。皆さんはカレーはお好きですか? 僕は大好きです。二~三日に一回はカレーを食べています。
そして……、この時の美羽達は何一つ気がついていない出来事が実はもう、既に起きていました。その出来事に気づくことは不可能で、誰もまさかそうなってるとは予想してもいなかった出来事です。
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