第3話 悪夢の夜 2
「なんで……? あの時……、あの時 確かに私達は殲滅したはずよ?!」
「だよな……」
「それに有り得ない……。もしこっち側に来たとしても、私達はずっと監視していたのよ?! どうやってこっちに来たって言うの?! くっ………! それに本当にこれが奴等の仕業だって言うのなら、手が足りない……。至急出来るだけ人員を回してもらわないと、もっと大変な事になるわ」
「だがあの時確かに俺達の手で、間違い無く殲滅している。もし、奴等じゃなかったらどうする? 奴等が向こう側から来たとしたら?」
「あり得ない……そんな事」
「奴等じゃなくてもだ。同種って可能性も捨てきれねえだろ」
「だからそんな冗談やめてよ!」
2人の間に暗い過去が込み上がり、暫く黙った。
「取り敢えず、一旦私は本部に戻るわ」
「わかった……」
そう言うと、女性はポケットからメモを取り出し。何か書くとそれを御子神に手渡した。
「何かあれば」
そうして女性は黒尽くめの男達を呼び、早々に引き上げていった。
紙を開くとそこには番号が書かれている。御子神はそれを見ると、そっとポケットに入れた。
そこへ村中が戻ってくる。
「御子神さん、今の超絶美人は誰なんです?」
「ありゃ俺の古い友人の1人だ。名前は、鬼頭朱莉って言ってな。小娘に見えるが、ああ見えて30代後半だ」
「マジっすか?! でもめっちゃ美人ですよね! うわぁ…、あんな美人とお近付きになりたいっス。……ん? でも……、鬼頭? 鬼頭って名前、どっかで聞いたような? ……え? あれ…? もしかしてぇ……」
どこで名前を聞いたのか思い出した村中は一瞬で顔を更に青ざめさせた。
「そうだ、その鬼頭だ。日本のみならず、世界中の裏社会に影響力を持つあの組織の女大幹部様にして右腕だ。だから下手に手を出してみろ、一瞬で殺られちまうぞ」
「ま…マジっすか……。え? でもどうしてここに?」
「御子神さん」
「ん?」
そこへ、見た目からしてエリートまっしぐらです、と言わんばかりの、男の刑事がやって来た。
「こちら、第一発見者の方です」
第一発見者はパッとしない中年太りのサラリーマン。
話によると、会社の帰宅途中。目の前で女性が何かに突然引き込まれるのを目撃。怖くなってしばらく動けなかったが、数分後に恐る恐る行ってみると。既に血の海になっていたと話す。
「たったの数分でか……」
「名前と住所が特定できる遺留品はなにもありません」
「そうか……。ところで鑑識はなんて言ってんだ?」
「え? 鑑識ですか? あっ、直接的な死因ですね? 司法解剖してみて見ないことには何とも言えないそうです。しかし、害者はおそらく即死だったと考えられるそうです。頭蓋骨粉砕どころか、頭自体が綺麗に粉々になってますからね。他は両手足が何か物凄い力によって引きちぎられた形跡があり、その両手足も粉々になってますから。散らばっている皮膚や肉、どの骨の欠片がどの辺の物なのか特定はほぼ無理だろうとの事です。しかし、いったい何をしたらあんな酷い殺し方が出来るんでしょうか…。衣服はバラバラ。害者を特定できる遺留品は無し。あるとすれば身につけていたアクセサリーだけです」
そこまで聞いて村中はまた気分が悪そうな顔へとなっていく。現場の惨状を思い出してしまったのだろう。
「……お前さん、刑事になって何年経つ?」
「そろそろ6年になります」
「だったら聞いた事ぐらいあるよな? 日本の裏軍隊と呼ばれる存在を」
「裏軍隊ですか? えぇ、確かに何度か聞いた事がありますが。僕としては眉唾物ですね。日夜人々を怪物から守る為に存在しているだなんて。僕としてはそんなの信じられませんよ。だって相手は怪物ですよ? 怪物。そんなの存在する訳ないじゃないですか。むしろ人間が怪物ですよ。ハハハハハッ」
「はは……、そう思うよなぁやっぱり」
「突然どうしたんです? それと何か関係があるんですか?」
「ん? いや別にな」
御子神は苦笑いするものの、内心そうではなかった。
「(ちっ、最悪な気分だぜ……) 取り敢えず。無駄だと思うが他に目撃者がいないか徹底的に聴き込みをしろ! あと、不審な奴が居なかったかもだ! 俺は取り敢えず本庁に戻る。何かあったら連絡しろ。いいな!」
その言葉に周りの刑事達は返事をし、颯爽と聴き込みに出た。
「おやっさん!」
「ん?」
「すまねえけど、明日俺について来てくれ」
「健二、オメー!」
「これは命令だぜ? おやっさん。警視庁強行犯係捜査第1課巡査長として、明日一緒にあそこへ行ってもらう」
「ちっ! そう来やがったか! わーったよ、ったくぅ」
御子神はその見た目とは裏腹に、実は警視庁強行犯係の巡査長。つまり、本来は班長と呼ばれるポジションの男だった。
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