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『終焉を告げる常闇の歌』  作者: Yassie
第1章 終わりの始まり
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第35話 武器錬金


「許さねえぞ。どこのどいつなんだ?」


「ま、まて、落ち着けよカズ」


 いきなりだったから俺は慌てふためき、カズを落ち着かせようと両手を振った。


「そ、そうだよ、七海ちゃん、ちゃんと断ったって言ってたし」


 助けてくれてありがとな……美羽。


 美羽が援護射撃してくれたおかげで、カズは怒りを抑えて普段の顔になんとか戻ってくれた。


「そうか、なら良いんだ」


「でもさ、七海ちゃんに彼氏が出来たらどんなデートをするんだろ?」


 美羽の言う通り、なんか気になる。


 きっと可愛い服を着て、何処かの男と手を繋ぎながら明るい笑顔で歩くんだろうなナッチは。


「あ? まだそんな早え話をすんな。彼氏を作って良いのは16歳になるまでダメだ」


「お前はシスコンか?!」


「誰がシスコンだこの野郎」


 俺は思わずシスコンかと言ってしまい、危うくカズの逆鱗に触れそうになった事に冷や汗を流した。


「そうだよ? カズ。恋愛は自由じゃない。それに、人のこと言えるの?」


 まったくもってその通りだ美羽!


 その言葉には流石のカズにもクリーンヒットした。


「うっ……く。し、仕方ないだろ、アイツをちゃんと理解してくれる奴がいるのか? アイツは二重人格で、一応俺の妹なんだ。七海なら上手く対応出来るだろうが、刹那は恋愛に無頓着だしよ。だから2人の意見がちゃんと一致する事が出来る相手じゃなきゃ俺は絶対に認めねえし、許さん。下手な相手と付き合って傷つくのを俺は見たくねえんだよ」


 恥ずかしそうな顔をしながらカズが自分の気持ちを吐き出す。

 そんなカズに対して皆んな、シスコンと言うより妹を心から心配する事が出来る、優しいお兄ちゃんなんだなと感じた筈だ。

 少なくとも俺はそう思えた。



 ……そして夜が更けていく。



 翌日も俺達は全力で走った。

 目的地となる場所まで後半日程で到着する事が出来る距離まで走り続けている。


「よし、そろそろ休憩するか」


 カズのその言葉には助けられた。

 もう足が疲れて動きそうにない。


「ダリア、悪いがこの近くに川がないか調べてくれ」


<クルッ>


 ダリアが川の匂いがしないか鼻で探り、怪しいと思った方へ走って行く。

 暫くすると、ダリアが大きく鳴いた。


<クルルッ、クルルッ、クルルッ>


「おっ、やっぱりあったか」


 ダリアの鳴き声が聞こえた方へ行くと、そこには綺麗な小川が流れ、川には小さな魚達も泳いでる。


「川だあ!」


 綺麗な川があった事に美羽と沙耶が喜んだ顔ではしゃぎだす。


「丁度休憩するのになかなか良さげだな。よし、ここで暫く休憩しようぜ。川に入って軽く汗でも流してサッパリとすると良い」


 カズのその言葉に女子2人は益々喜ぶ。


「やった!」


「汗でベトベトだったから助かる〜」


 2人はニコニコしながらカバンの中からタオルとかを出し始めた。


「幅約5メートル、水深は深い所で1メートルあるか無いかってところだな。だが水中型のモンスターがいるかもしれないから気をつけろよ?」


「「はあぁい!」」


 美羽と沙耶の2人は木の枝に紐でカーテンを取り付け、そこで水着になって川へと入った。


「気持ちいい!」


「生き返る〜!」


 美羽は黒と青のビキニ。沙耶はピンク色の水玉模様がある白いビキニでフリルが付いている。

 2人はお互いに水を掛け合って遊ぶ。

 そんな(なまめ)かしい姿の2人を俺、一樹、ヤッさんの3人はニコニコしながら眺めていた。


「いい……」


「いいですなぁ……」


「来てよかったよ……」


 俺達は鼻の下を伸ばして口にしていた。


「あれ? お前ら水着どうしたんだ?」


「「ん?」」


 俺達に声を掛けてきたのは他の誰でも無い。カズだ。

 そのカズがいつの間にか水着姿になっていた。


「か、カズ?」


 俺は驚いた。いや俺だけじゃなく、一樹とヤッさんもだ。


「お前ら水着忘れたのか?」


「「うっ!」」


 ……図星だ。


「せっかく用意してやったのに。それに念のために持って行くって言ったろうが、この馬鹿が」


 くそ……、せっかくカズが用意してくれた水着を忘れてきた……。


「な、なにも言い返せねぇ」


「当たり前だ。俺はちゃんと準備しろと言ったのに忘れてくるお前ら3人が悪い」


「「はい……」」


「ったく、俺知〜らね」


 そう言ってカズは川に入り。アリス、ヒスイ、ダリアと水遊びし始めた。


「羨ましい……」


「泣くなヤッさん! きっと良い事ある筈だ! なっ? そうだよな? 一樹?」


「……え?」


「ああぁ……」


 ヤッさんは悔しさの余り泣き。俺はそんなヤッさんを励ます。

 一樹は白目を剥いて一樹自身がまるで真っ白になっていた……。 ーーー



 ……その頃川では。



 ーーー《和也side》


「ほらアリス、気持ちいいか?」


<ガウッ!>


「クククッ、ほらほらヒスイ、ダリア、お前らも遊べ遊べ!」


<ギュアッ!>


<ギュアアッ!>


「ハハハハハッ!」


 俺がアリス達と水遊びしていると、そこに美羽と沙耶が乱入して来た。


「ねぇ、私達も混ぜてよ!」


「そうだそうだ〜! えいっ!」


 沙耶が足で水を掛け、俺も2人に水をかけて遊んでいると。


 あ? なに羨ましそうな目で見てんだ?


 離れた場所から憲明達が悔しそうに見ている。

 忘れたテメェらが悪いんだろぅが?


「ねぇ、そう言えば私、カズのそんな姿初めて見た」


「あっ、それ私も〜」


「めっちゃ良い感じの……肉体、なん……ですけど?」


「ヤバイ、見てたら興奮……してきた」


 ……あ? なんでお前らが逆に興奮してんだ?

 別に俺の水着姿なんざ毎年海に行ったりしたら見てんだろぅが。


「ねえ! ちょっと触らしてよ!」


 ……は?


 美羽がそう言って俺に近づく。


「あっズルい! 私も!」


 沙耶も水の中を走って近寄る。


「おい?! ちょっ?!」


 そう言って2人で俺を押し倒し、腹筋やら胸板を触ってくる……。


 普通……、逆じゃね?


「凄い……」


 美羽が胸板に頬を当て、ウットリとした顔で触る。


 やめろ……、マジでやめろ……、そんな顔するな……。


「ヤバイ、こんな体でもし抱きしめられたら……」


 沙耶は腹筋を触りながら頬を当てる。


 お前もやめろ……。


「「堕ちちゃう……!」」


 勝手に堕ちるな。


「いい加減離れろ、なにお前らまで発情しようとしてんだこの馬鹿が」


 ……可愛いからマジで勘弁してくれ。


 下手にこの2人にだけは手を出したくなかった俺は、そのまま襲いそうになっちまったから、慌てて引き離した。

 そして、引き離した後俺は二人を軽く叩いた。


「イタッ!」


「あう!」


 美羽はまだ触っていそうな目で俺を見る。


 ……頼むからそんな目で見るな。


「そんなヤバイ体してるカズが悪いんだから」


 沙耶は頬を赤くしながらそのままペタンと座り、俺を上目遣いで見つめる。


 なんで俺が悪いんだよ……。


 俺はこの2人にだけは手を出したくない。

 理由は色々とある。

 美羽と沙耶が俺をそういった目で見ていることには前々から気が付いちゃいるが、俺が2人の気持ちに応えるわけにはいかねえ。

 ……正直、嬉しいさ。

 でも俺は、この2人を傷つける可能性が高いからそんなことをしたくなかった……。

 俺だって2人が好きだ……。

 嬉しいし、ありがてえし、その気持ちに応えてやりたと思う……。でも俺は……、俺の身勝手でこの2人だけは傷つけたくねえんだ。



 その後一通り汗を流した俺は先に川から上がり、能力で体を乾かし、別の能力を使っていつもの服装に戻した。


「お前、それなんだよ?!」


「あ?」


 憲明が驚いて聞いてくるので、今のがなんなのか説明をする。


 "闇の衣"

 闇の衣はあらゆる装備を闇に変換し、俺の意志一つで瞬時に形態を解き。闇がまた装備や服へと変わる。

 闇の衣を発動させればどんなに服等が破れたりしてでも瞬時に修復する事も可能だ。

 闇の衣には他にも隠された能力があるが、今は話す必要が無いから言わないでおく。


「なんだよそのとんでもスキルは……。お前のステータスプレートには書いてなかったぞ……。いつからそんなの使える様になってんだよ?」


「だいぶ昔からだ。まぁスキルって言うより、それとは別の特殊能力だから書いてなかったんだろ」


「お前さ……、まだそんな特殊能力隠し持ってたりするよな?」


 憲明がジト目で見てくる。


 感のいい奴だよ、お前はよ。


「……あっても言わねえよ」


「お前マジかよ……。どんだけビックリしなきゃなんねえんだよ俺……」


「うっせぇなあ、んなこと言われても全部言える訳ねえだろうが」


 ……あっ、そういや修復ついでに新しい武器でも作るか。


 俺は憲明が聞いてきた事を軽くあしらい。次に、"アイテム収納空間"からデーモンズ・ベアーの骨を幾つか出す。

 その他にも色々な物を幾つか出してその場に広げた。


「何するんだよ?」


 そこへ憲明が興味深そうな目で俺の前に座る。


「あ? 今からちょっと試したい武器を思いついたからちょっと作ってみようかと思ってな」


「マジか?! 見てて良いか?」


「あ? 別に構わねえよ?」


 材料はデーモンズ・ベアーの頭蓋骨と左右の腕の骨を2本分。んで、ヤギの様な角を持つとあるモンスターの頭蓋骨。次に純度の高い魔鉱石。鉄。……ボロボロに壊れたモーニング・スター。


 壊れたモーニング・スターの鉄球には長さ10メートルの鎖で繋がり。鉄球には凶悪なトゲが付いている。


 ……しかし、見るも無惨な姿だな……。


「か、カズ? コレは?」


 憲明が驚いて指を差したのは勿論、壊れたモーニング・スターだ。


「ん? あぁそれな、それは実験的に作った武器なんだけどよ。いつだったかディラルボアにそれで何度も攻撃したらぶっ壊れたんだ。だからそれを修復ついでに強化しようと思ってよ」


 俺としたことが、まさかここまで壊れるとはな……。


「な、成る程な……」


 俺はスキル、"錬金術"で2つの頭蓋骨と魔鉱石の塊を合成し、三つ目を持つまるで悪魔の様な形にする。

 そして同じ様に2本の腕も魔鉱石で強化し、通常よりも短い腕の骨へと変える。

 次に頭と腕を鉄球と合成。

 んで、ボロボロになった鎖に鉄と魔鉱石で修復と強化を施し、更に鎖を長くする。

 持ち手となる部分は大きな輪を作って取り付ける。

 鉄球と合成された骨と鎖を繋ぎ。頭の裏側にはとある魔法陣を刻み込む。それは持ち手となる輪にも能力でどんどん刻む。

 最後に"アイテム収納空間"から、とあるアイテムを出す。それは黒い球体であり、"重力操作"やその他諸々の魔方陣を刻んである。それを頭の下に取り付ける。


 よし、これでいいだろ。


 自分で言うのもなんだが。

 出来上がったのは悪魔の様な頭に2本の腕を繋げ、鎖で繋がれた一見異様な武器が出来上がった。


「な、なんだこりゃ?!」


「そうだなぁ……、名付けるなら"デモン・スター"だな」


「いやデモン・スターってお前……」


「よし、仕上げだ」


「え?! まだ何かすんのか?!」


 デモン・スターに手をかざし、俺はとあるスキルを発動させ、呪文の言葉を唱えた。


永久(とこしえ)より来たりし亡者の魂よ、汝の力を我の為に振え、我の為に戦え、我の為に敵を撃て」


 ー ソウル・サクリファイス ー


 呪文を唱えたことで黒い球体に魔法陣が浮かび上がり、三つ目に赤い光が現れると頭蓋骨の武器が(ちゅう)に浮かぶ。

 正直、この呪文は禁忌に触れる呪文だから憲明達には覚えて欲しくないんだが、そう簡単に修得できるものじゃねえから別にかまいやしねえんだけどな。


今回のお話は如何だったでしょうか。

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