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『終焉を告げる常闇の歌』  作者: Yassie
第12章 悪魔の仮面
333/337

第330話 一緒に逃げたい


 20:22


 学園祭(がくえんさい)何事(なにごと)()無事(ぶじ)()わり、後片付(あとかたづ)けを()ませて(まわ)りを()ると、(すで)美羽(みう)姿(すがた)()かった。


 カズから連絡(れんらく)()()っちまったのかな?


憲明(のりあき)


「ん? どした? イリス」


「……美羽(みう)(ねえ)ならさっき()った」


「そっか、んじゃアイツから連絡(れんらく)()たんだな」


 後片付(あとかたづ)けも()わり、(みんな)()()げしようかなって(かんが)えていると。


「なぁ憲明(のりあき)


「どうしたんだよイリス? カズが()てから様子(ようす)何時(いつ)もと(ちが)うじゃねえか」


 (へん)におとなしいし、何時(いつ)もと(ちが)って元気(げんき)がまったく()い。


 もしかして昼間(ひるま)の。


()にしすぎだって、未来(みらい)なんて不確定要素(ふかくていようそ)だろ? 水晶(すいしょう)()光景(こうけい)なんてんなもん、(おれ)がブッ(こわ)してやるよ」


 (あか)るく()ったつもりだったんだ。

 だけど。


「んじゃなんでそんな()()()()()()()()


 ……(おれ)()づかないまま、あの光景(こうけい)恐怖(きょうふ)()()けられていた。

 自覚(じかく)()かった。でも(たし)かにあの(とき)のとんでもない恐怖(きょうふ)がトラウマになっちまっていた。


「あれ? おかしいな……、なんで、(おれ)、こんなに(ふる)えてんだ?」


憲明(のりあき)やっぱやめよう! どう(かんが)えてもあの(ひと)には()てない! 無茶(むちゃ)だよ!」


 でも、(おれ)約束(やくそく)したんだ。

 だからって()げられる(わけ)ねえだろ。


「あの(ひと)には絶対(ぜったい)(だれ)だろうと()てない。文字通(もじどお)(かみ)()(ころ)(こと)出来(でき)唯一無二(ゆいつむに)存在(そんざい)なんだぞ?」


「んなこと、……()かってる」


「だったら!」


 イリスの心配(しんぱい)(いた)いくらい()かる。

 だけど、約束(やくそく)したのにそれを(やぶ)っちゃ友達(ダチ)って()えねぇ。


「んじゃお(まえ)(だれ)かに(まか)せようって()うのか? そんなの無責任(むせきにん)だろ」


「でも!」


(おれ)()わりに(くる)しませるなんて、んなことできっかよ。アイツは、(おれ)()めなきゃなんねえんだ」


「……(まえ)にも()ったけどさ、あの(ひと)完全(かんぜん)復活(ふっかつ)すれば、どんなに(あらが)っても全部(ぜんぶ)無意味(むいみ)()わるんだぞ? ()きた終焉(しゅうえん)に、どう()てる算段(さんだん)があるって()うんだ?」


()てる算段(さんだん)なんざ、最初(さいしょ)っからねえよ」


 そう、んなもんねえんだ。

 アイツのステータスはあって()いのと(おな)じで、正面(しょうめん)から()りあえば確実(かくじつ)()ぬ。

 どんな小細工(こざいく)無理(むり)

 だけど(おれ)真正面(まっしょうめん)からアイツと(たたか)わなきゃいけないって(おも)ってる。


「イリス、()げたきゃお(まえ)だけでも()げろ」


「は? (なに)()()すんだよ……。(おれ)にお(まえ)だけ(のこ)して()げるような(おんな)になれって()うのかよ?!」


 そう()って(おこ)っても(ふる)える(からだ)正直(しょうじき)だし、(いま)にも()きそうな(かお)をしている。

 イリスは()っている。いや、()っていた。

 カズがどんだけの化物(ばけもの)なのかを。

 ゲームに()てくるラスボスや(うら)ボスですら()いて()げたくなるような、存在(そんざい)するだけで世界(せかい)終焉(しゅうえん)(あた)える最強(さいきょう)最悪(さいあく)存在(そんざい)だって。

 だからイリスは(おれ)心配(しんぱい)してくれてるのが()かるし、(こころ)から(うれ)しい。

 だからこそ、それもあるからこそ、(おれ)(おれ)友達(ダチ)を、イリスの兄貴(あにき)でもあるカズと()かい()わなきゃならねえって思ってるし(すく)わなきゃならねえんだ。

 それが出来(でき)るのは、(おれ)だけしかいねえって(おも)うから。


「お(まえ)気持(きも)ち、スゲー(うれ)しいよ。(うれ)しいからこそ(おれ)はアイツから()げたくない」


馬鹿(ばか)だよお(まえ)は、大馬鹿(おおばか)ヤローだよ」


「でもそんな(おれ)()きだろ?」


馬鹿(ばか)馬鹿(ばか)(きら)いだ!」


 ちょっとからかうと()ぐふてくされる。

 けどそんなイリスが可愛(かわい)い。


(おれ)、……もうちょっと」


「どうした?」


「……もうちょっと、(おんな)らしくなって、お(まえ)にふさわしくなれるように、……頑張(がんば)る」


 え? (きゅう)にどしたわけ?


「これからは"(おれ)"って()わず、その、わ、"(わたし)"って()えるようにする」


「どうしたんだよ(きゅう)に?」


「そしたらさ! もっと(おれ)っ! じゃなかった、(わたし)(たの)みを()いてくれるだろ?! ()いて、くれる、よねっ?!」


 え? なんだろ……、(すご)可愛(かわい)いんだが?


(いま)(ちが)うけど、兄様(にいさま)美羽(みう)(ねえ)(まも)り、美羽(みう)(ねえ)兄様(にいさま)(まも)るって(ちか)いを()てたように、(おれ)、じゃなかった、(わたし)(たち)()てよ?」


 ほんと、なんだか()(かた)()えただけで何倍(なんばい)可愛(かわい)(おも)えるな。


「んじゃ、(おれ)はイリスを(まも)(けん)になるよ」


「わ、(わたし)はおま、……憲明(のりあき)(まも)(じゅう)になる」


 あ~ダメだ! 可愛(かわい)すぎて()()めたい!


「えへへっ、なんか、()うと()ずかしいな」


 もう無理(むり)(はや)一緒(いっしょ)(かえ)りたい。


憲明(のりあき)(おれ)(わたし)(けん)で、(わたし)憲明(のりあき)(じゅう)か。……んへへっ、()ずかしいけどなんか(うれ)しいな」


 はにかんだ笑顔(えがお)可愛(かわい)すぎて()ぬ。


「……だけど、いざって(とき)(あたま)片隅(かたすみ)()げる(こと)()いといて……、ほしい」


「わかった」


「えっ、えへへっ、……ん~、もっと、可愛(かわい)くなれたらその(たの)み、()いてくれる、かな?」


 (おれ)はそこで我慢(がまん)限界(げんかい)(むか)え、イリスを(つよ)()()めた。


「ちょ?! どうしたんだよ憲明(のりあき)?! (うれ)しいけどさ!」


駄目(だめ)、もう無理(むり)、マジで無理(むり)可愛(かわい)すぎて(はや)(かえ)りたい。いやむしろもう(かえ)ろう」


「まっ、まてって! (うれ)しいけど()()げは?!」


「もうそんなのどうでも()い」


「……ったく、じゃなかった、……もう。……(ぎゃく)()かせないからな?」


「あ? そりゃこっちのセリフだ」


 そうやってお(たが)()つめあっていると。


「お(まえ)他所(よそ)でやれ他所(よそ)で、人目(ひとめ)(はばか)らずにイチャイチャすんじゃねえよボケ」


「「そうだそうだ!」」


「「……ゴメン」」


 一樹(かずき)(おこ)られると(ほか)連中(れんちゅう)からは「そうだそうだ!」って()われてしまい、(おれ)(たち)はなんだか(きゅう)に、さっきと(ちが)ってかなり()ずかしくなった。


「の……、憲明(のりあき)がいけないんだぞ?」


「はぁア? なんでだよ? お(まえ)可愛(かわい)いからだろ?」


「いやいやいや、お(まえ)格好(かっこ)いいからだろ?」


「「……あ?」」


「イチャつきながら喧嘩(けんか)すんなっつーの! どっちもどっちだよアホが!」


「……(わる)い」

「……ゴメンなさい」


「ほら! ()わったんだからそろそろ()こーぜ!」


「「はーい!」」


 そのまま一樹(かずき)指揮(しき)り、(おれ)(たち)学園祭(がくえんさい)()()げをしに場所(ばしょ)(うつ)す。


「「かんぱーい!」」


 その場所(ばしょ)夜城(やしろ)(てい)大水槽(だいすいそう)(まえ)ホール。


 ーー 夜城(やしろ)(てい) ーー


 ()(もの)自分(じぶん)(たち)用意(ようい)し、場所(ばしょ)だけ()してくれるからそこにした。

 ましてやカズについて(はな)さなきゃならねえ(こと)もあるからだ。


 22:00


「さて、そろそろ(はな)すか?」


「そうだな」


 (よる)の22()

 (おれ)はクラスメイト(たち)(あらた)めてカズの(はなし)をした。

 全員(ぜんいん)カズがどれだけむちゃくちゃな存在(そんざい)なのか(すで)()っている。だけど、それでも(おれ)(たち)だけしか()らない情報(じょうほう)(つた)え、どれだけ無謀(むぼう)なクエストをアイツは()ったのかを()ってもらう。


「ハッキリ()って()(のこ)確率(かくりつ)はゼロ。ありとあらゆる攻撃(こうげき)手段(しゅだん)()い。アイツが(つぎ)()()ましたら別次元(べつじげん)存在(そんざい)になっちまう、それでもお(まえ)ら、(おれ)(たち)一緒(いっしょ)(いど)勇気(ゆうき)はあんのか? 正直(しょうじき)(おれ)(たち)ですら()てる保証(ほしょう)なんて皆無(かいむ)なんだぜ? あるとすりゃんなもん奇跡(きせき)ってレベルだ、その奇跡(きせき)何百万回(なんびゃくまんかい)どころか何億(なんおく)一回(いっかい)あるか()いかの()(もの)って()うのも可愛(かわい)(おも)えるくらいヤバい。それでも()いのか?」


憲明(のりあき)(はなし)はなにも誇張(こちょう)して()ってんじゃねえからな? イリスにも()いてみ? あの馬鹿(ばか)はそれだけヤバいって(わか)るからよ」


 (おれ)(つづ)いて一樹(かずき)がそう(つた)えると、(みんな)視線(しせん)がイリスに集中(しゅうちゅう)する。


兄様(にいさま)得意(とくい)としている攻撃(こうげき)は"核擊(かくげき)魔法(まほう)"。ピンポン(だま)ぐらいの(おお)きさでも想像(そうぞう)(ぜっ)する規模(きぼ)破壊(はかい)(りょく)()め、同時(どうじ)百個(ひゃっこ)でも千個(せんこ)でも(つく)()して攻撃(こうげき)してくる。(たと)えるとするなら、たった1つで東京(とうきょう)ドーム(ぐらい)範囲(はんい)()()ばせるな。その(なか)でも最悪(さいあく)なのが兄様(にいさま)にとって()(ふだ)になる"(つき)(しずく)"がマジでヤバい」


(たし)かアイツの(はなし)だと、(いま)変異(へんい)して"黒月(こくげつ)(なみだ)"って名前(なまえ)になってるらしい。それ、お(まえ)(なに)()ってるか?」


「……アレは本気(ほんき)本気(ほんき)でマジでヤバすぎる。兄様(にいさま)()記憶(きおく)だと一度(いちど)だけ()った(こと)があるみたいだ」


「どうヤバいか()えるか?」


「……それで()1()()()()()()()()


 ……それはヤバい。


「それにあの(ひと)戦闘力(せんとうりょく)測定(そくてい)する(ほう)馬鹿(ばか)げてる。……()()なんだよ、あの(ひと)能力(のうりょく)は」


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